【性的暴行罪?】10秒なら体をまさぐっても刑法上OK!イタリア判決に世界中で議論が巻き起こる!

イタリア・ローマで、男性職員が女子生徒の体をまさぐり、性的暴行罪で訴訟を起こしました。

ローマの裁判所だ出した判決は、なんと

「無罪」

理由は、

「10秒以内なら罪にならない」

ということでした。

この判決に、世界中で抗議の声が上がっています。

「じゃあ10秒以内だったら、なにをしてもいいのか!」

詳細を見ていきましょう!

目次
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イタリアは10秒なら他人の体をまさぐってもOK!

事件が起きたのは、イタリア・ローマ。

ローマの高校の男性用務員アントニオ・アヴォラ被告(66)が、女子生徒(17)の体を、公の場でまさぐったそうです。

この女子生徒は、学校で昨年4月、友達と一緒に教室に向かって階段を上っていたところ、ズボンがずり落ちるように感じました。

するとおしりを触られ、下着をつかまれたといいます。

女子生徒が振り返ると、アヴォラ被告が

「お嬢さん、もちろん冗談だよ」

と言ったそうです。


女子生徒は警察に被害届けを提出。

被告は生徒の体をまさぐったことは認めましたが、冗談だったと主張しました。

裁判でローマの検察当局は、禁錮3年半を求刑

ところが裁判所は今週、被告に無罪を言い渡しました。

行為が10秒未満だったため「犯罪にはならない」と判断したとのことです。

さて、みなさんはどう感じましたか?

10秒以内なら痴漢行為も性的暴行罪にはならない!

このローマの裁判の無罪判決は、世界中で大きな論争を巻き起こしました。

世界中のメディアから批判コメントが寄せられています。

確かに、それだったら街を歩いていて「気になる人の気になる部分(??)」を触っても、10秒以内ならOK!ってことですものね。

▼Twitterでは、こういうツイートが多くツイートされています。

このツイートの動画では、男性がいきなり女性のおしりを触り、「なにすんのよ!訴えるわよ!」と女性が言うと、男性が(女性のおしりに手を置いたまま)「ちょっと待って」と言います。

女性が「なにを待たないといけないのよ!?」と言うと、男性は時計を見ながら時間を測り始め、

「9秒だよ。合法だ」と言います。

女性は、「そうだったわ、10秒未満なら合法だったんだわ、ごめんなさいね!あなたの言う通りだわ」とニッコリと微笑みます。

今回の判決に抗議の気持ちをこめて作られたショート動画ですが、これと同じことをしてもイタリアでは罪には問われないということです。

世界中では、批判の声が上がり、イタリアでも著名人をはじめ議論になっていますが、

イタリア国内では、なんと「わからなくもない」と言う声が聞かれるのも事実です。

どういうことでしょうか?

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ボディタッチ大国のイタリア

イタリアは、世界でもよく知られる「ボディタッチ・スキンシップの国」。

ボディタッチは、人々が親しみを表すために、頻繁に行われます。

挨拶のハグやキス(地域によっては1回の挨拶で3回もキスをする習慣がある)は当たり前だし、

場合によっては「元気〜?」とか「またね〜」とかいう時に、おしりや腰のあたりをポンっと触られたり、腰を引き寄せられたり、首にキスしようとしてきたり、、と、「過剰なボディタッチ」も見られます。

はるこん自身は、こういう「スキンシップ」という名の、過剰なボディタッチがとても苦手で、あまりにも過剰に触ってこようとする人には

「che fai?」(なにするの?)と厳しい眼差しでやんわり制止するけれど、そういう場合も「冗談だよ、大袈裟だなあ、アハハ」で済まされるのがイタリア。

欧州連合(EU)の欧州基本権機関(FRA)によると、ハラスメントを受けたイタリアの女性のほとんどが、届けを出していないという統計結果があります。

イタリアに住んでいて、肌で感じるイタリア人の共通認識としては

「男性は女性なるべく肌で感じていたい」→「ちょっとボディタッチがすぎるのは仕方ない」という感じです。

女性側も同じような認識があり、「男性ボディタッチが好きなのは、男性の本能に関わることだから仕方ない」ということ。(注・最近は徐々に変わってきています。)

なので、ボディタッチが過剰だと感じるなら、嫌だと言えばいいし(ただしある程度は受け流してあげようと思う女性もいる)、男性も「冗談冗談、アハハ」で済ませるのがほとんど。

特に、40代以上の世代ではこのような感覚が多く、イタリアの風習がこうだったのだと思います。

ただ、最近の若い世代は、この辺りの線引きがきちんとしていて、こういうイタリアの古い風習や感覚が薄れてきているのだと感じています。

要するに、昔なら「冗談だよ!」「仕方ないわね」で済まされていた過剰なボディタッチが、最近では「セクハラだ!」ということになるんですね。

今の感覚でみれば、当然セクハラと思える行為も、昔だったら「なにをそんな大袈裟な」という程度でした。

だから、今回の判決も、「まあ、男性だから可愛い女の子にちょっと挨拶したかったんでしょ。スキンシップがちょっと過剰だったかもしれないけれど、まあ、そんな大袈裟にことを荒げなくても」という意味で「無罪」という判決が出たのではないでしょうか。

被告が「冗談だった」と言っているのも、「まさかそんな大袈裟なことになるとは」「ちょっと挨拶したかった」という感じだったように思えるし、

裁判官が「10秒未満なら」と言ったのも、「レイプとか、そこまでいったら犯罪だけど、今回のことは、スキンシップの延長だろう」と見なされたということでしょう。

確かに、下着を触られたというのはかなり過剰だけれど、スキンシップ(?)が過剰になっただけで悪意はなかった、とみなされたのだと思います。

個人的には、ひどいなという思いでいっぱいですが。

世界中で批判が起きていますが、イタリア人には「まあ、やり過ぎだと思うけれど、わからなくはない」と感じた人もいたのではないでしょうか。

コロナ後変わってきたイタリア人の感覚

イタリアでは、コロナによる厳しいロックダウンが行われたのは、みなさんもご存知だと思います。

それにより、空気感染の概念やマスク着用、消毒など今までイタリアにはなかった認識が多く取り入れられるようになりました。

従来のボディタッチやスキンシップをすることに、繊細になったという気がします。

人が人のパーソナルスペースにズカズカと入り、過剰なスキンシップで挨拶を交わすこともあったイタリアの古い風習は、コロナ後の今、変わってきています。

だからこそ、過剰なスキンシップには敏感になった人も多いし、特に若い世代は「過剰すぎるイタリア人ならではのスキンシップ」に抵抗を覚える人も多くなっています。

今回の事件は、そういう世代間の認識の差、コロナ後変わった認識変化があったからこそ、こうして公になったのだと思います。

要するに、女子高生(若い世代)がセクハラと感じる行為が、ある程度の年代の世代では、スキンシップとして認識されていたということ。

ただ、下着を触るなどは、明らかにやり過ぎです。

今までは「仕方ないな」で済んできたことが、こうやって「仕方ないでは済まされない」と多くの人が感じるようになってきたのは、ちてもいいことだと思います。

だって、イタリア人の過剰なスキンシップが苦手な人は、結構多いから、、!

はるこんは以前、日本人留学生を多く受け入れていた、私立の美術学校の同時通訳の仕事をしていたことがあるのですが。

そこで女性の日本人留学生に言われていたのが

「先生(男性)が、挨拶の時に首にキスしてきて気持ち悪かった」

「挨拶の時に、ハグして腰に手を回してくるのやめてほしい」

「挨拶の時に頬を何秒もくっつけてくるのやめてほしい」

とかいう苦情でした。

はるこんは、あまりにも多いそのような声に、学校側に何度も話したことがあるんだけれど、

「日本人は、挨拶でハグしないの?だったらイタリア式に慣れていいんじゃない?」

「外国に留学に来たらその国のスタイルに慣れるのも大切」

なんていう回答でした。

それで、男性の先生たちに

「日本人は、挨拶にハグとかキスとかの習慣がないから、過剰なスキンシップには戸惑いを覚える人も多いです。だから過剰にならないようにお願いできますでしょうか」

とお願いして見たんだけど、

「挨拶だよ〜??大袈裟だなあ、親しみの表現なんだから受け入れるべきだよ?なんなら、学生側からももっと親しみを表現してほしい」

なんて答える先生ばかり。

「親しみの表現なんだから、触ってなにが悪い」

という感じでした。

結局、何度も何度も言って、少しは改善されたけれど、今回の被告や裁判官と同じように、

「大袈裟な〜。」

と思っていたのだと思います。

言っても言っても、「これがイタリア式スキンシップ」という感じだったけれど、ちょっとひとこと言いたい。

「だったら男子学生にも同じ挨拶しろよ〜」

と!!

そして今回無罪になった被告にもひとこと。

「無罪になったからっていい気になるなよ〜!イタリアだから無罪だったものの、他の国なら完全なセクハラだ!!」

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

人々が陽気でフレンドリーな印象のあるイタリア。

ですが、このようなイタリアならではの問題もあります。

過剰なスキンシップに戸惑いを感じる人が多いのも事実。

今回、このように議論されることになって、少しはイタリアの過剰スキンシップがおさまるといいな。

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この記事を書いた人

イタリア・フィレンツェ在住のソプラノ歌手でエッセイスト。
フィレンツェ国立音楽院大学院オペラ科卒。
エルフキャットの姉妹、E.Tちゃんとグレムリンちゃんと一緒に暮らしています。

海外に暮らしながら、見えなくなっていた日本のかたちを言葉にしています。
日常の中の違和感や静けさ、伝えそびれた感情たち。
短いけれど、少しだけ“考えたくなる”エッセイを、フィレンツェからそっと届けています。

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